大判例

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東京高等裁判所 昭和54年(う)772号 判決

被告人 三浦孝太郎

〔抄 録〕

所論は、要するに、原判決は、本件について大麻取締法三条一項、二四条の二の一号を適用しているところ、大麻の人体に及ぼす作用についての研究結果が未だ明確でない現段階においては、大麻は酒、煙草同様本来個人の自由な嗜好に任せられるべきものであって、大麻取扱者以外の者が大麻を所持・譲渡などすることを禁止し、これに違反した者を処罰する旨規定した前記大麻取締法の法条は、国民の自由及び幸福追求の権利を侵害するものとして、憲法一三条に違反するものといわなければならないから、結局原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の解釈適用の誤りがあるというのである。

そこで検討するのに、原審において取り調べられた厚生省薬務局麻薬課発行の「大麻」と題する印刷物の写によると、大麻を大量に摂取すると、偏執思考、錯覚幻視、離人感、妄想、錯乱、興奮、不安などの急性中毒症状を呈するが、ときにはせん妄、見当識障害などの意識障害を伴う中毒性精神病様状態を呈すること、感受性の高い人の場合には、大麻煙草一本という少量でも右症状が出現すること、大麻を長期に常用した場合には、慢性中毒症状として、多彩な精神異常発現作用及び無気力、無感動、判断力・集中力・記憶力の低下、認識能力の低下など人格水準の低下が認められるほか、再現症状の表出も認められること、なお、大麻についても耐性の発現及び依存性が認められることが明らかであり、大麻取締法三条一項は、その用法によっては、右のごとく人の心身に危険な害悪を生ずるおそれのある大麻について、大麻取扱者以外の者の所持・譲渡などを制限禁止したもので、かかる制限禁止は公共の福祉のために必要かつ合理的な規制というべきであるから、右制限規定及びこれに違反した者を処罰する同法二四条の二の一号の規定はなんら憲法一三条に違反するものではなく、論旨は理由がない。

(西川 杉浦 阿蘇)

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